爆裂BOX

アウェイクニングの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

アウェイクニング(2011年製作の映画)
3.9
超常現象のインチキを暴き、警察にも協力するフローレンスに、ルークウッド寄宿学校の校長から校内でたびたび目撃される少年の霊を調査してほしいとの依頼が入る。早速現地へ向かうフローレンスだが…というストーリー。
レベッカ・ホール主演で贈るゴシック・ホラー。TSUTAYA独占レンタル作品です。
1921年のイギリスを舞台に、インチキ超常現象を暴く仕事を行う女性フローレンスに全寮制の小学校に出る少年の幽霊の調査依頼が舞い込み、機材を持ち込んで調査するも、進めるうちに彼女自身少年の霊の存在を感じ始め…という内容になっています。
序盤で鮮やかに警官と共にニセの降霊術を行う詐欺師の手口を暴きますが、降霊術で死んだ家族と会えると思っていた家族にはビンタされ、彼女自身も仕事を行うたびに傷ついていきます。全く信じてない人間ではなくて心のどこかで霊や死後の世界を信じているからこそ、それで騙そうとする者が許せず、そして嘘を暴くたびにやはりそんなもの存在せず亡くした大切な人には二度と会えないのかと傷ついていったように感じました。
学校について様々な機材を使って少年の霊の存在を調査していくシーンはワクワクしました。目撃された少年の霊については結構アッサリ解決しますが、その後も不可思議な少年の姿や存在を感じたことで、生徒達が帰省した学校に残って、彼女に依頼したドミニク・ウエスト演じる教師ロバートと寮母のモード、両親がインドにいる為学校に残った少年トムと共に調査を続けます。
ホラーではありますが、ショックシーンやゴア描写は殆どなく、静かで不穏な雰囲気に包まれて進んでいきます。時々少年の霊が現れますが、ちょとCG然としてて映画のゴシックな雰囲気壊しかねないようにも感じました。主人公が少年を追い掛けて、学校のミニチュア覗いたら今までの学校での出来事が再現されてて、模型を覗いている自分の後ろに少年が立っている人形見つける所はゾッとしました。
終盤で明らかになるトムの秘密は薄々そうじゃないかと思っていましたが、「でも、モードとは普通に話したりしてたよね?」と疑問に思ったら、そこからの立て続けのドンデン返しで納得させてくれましたね。まあ、主人公に関わる秘密もトムの仕業と思って責めた時のモードの言葉で予想は出来ましたが。あまりにも辛すぎるから記憶に蓋をしてしまったのかな。
ロバートの「子供の頃、暗闇が怖いから目を閉じていたけれど、目を閉じていた方がもっと暗いのに。何故だろう」という台詞が印象的。
主演のレベッカ・ホールの美貌はクラシカルな服装と雰囲気にあっていましたね。最初頑固で傲慢そうな感じだったのが、どうしても説明のつかない現象に遭遇して混乱していく姿のギャップが良かったですね。蓋をしていた記憶と向き合わざるを得なくなり怯える姿も良い。
脇を固めるドミニク・ウエストとイメルダ・スタウントン二人の名優二人の芸達者ぶりも良かった。
過去と向き合い、受け入れて終わり、と思わせてからの一波乱も良かったです。ここでのイメルダ・スタウントンの豹変具合も。彼女を助けたいけど、ずっと孤独だったから傍にもいてほしい思いに苦しんで泣くトムが切なかったですね。ラストはロバートが出てくるまでどっちか判断付き辛くしててちょっとドキドキしました。「見えなくても忘れたわけじゃない」の言葉通り彼女は週末ごとに来るのだろか。
ロケーションの素晴らしさと美しさも強く印象に残ります。
怖さよりもヒューマンドラマ要素の方が強い感じはありますが、BBCが製作に携わっているだけにゴシック・スリラーとしては上質な作品です。