【殉死】
本作は安藤昇の舎弟に扮した菅原文太のみっともない生き様が何故かパッショネイトに展開される異色作。文太演じる「人斬り日向」の存在感が凄い。
主演が安藤昇という意味で加藤泰の『男の顔は履歴書』や『懲役十八年』と同様に戦後日本裏面史といった雰囲気も漂っている辺りが特徴。東映らしいアングラな戦後史観を満喫できる。
本作はアウトロー映画の定番である『仁義の墓場』(深作欣二監督)と同じく戦後社会に於けるどん詰まった男の末路を虚無的に描いた作品と言えるかもしれない。
ラストがちょっとご都合主義的でくさいのだが、キレッキレのアクション演出や銃撃戦、男同士の義理人情など見所は多くさすが中島貞夫監督。
十分観るに値するアウトロー映画の秀作。