さよなら種田

チェイサーのさよなら種田のレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
3.7
「壁に掛ける」「死んだ奴らを」
「アキレス腱を切る」「血を抜かないと運べないから」

一言で言えば面白い。
レビューには後味が悪いという意見が多数であった本作。
その理由は殺人鬼の行きすぎた行動言動の末路が故であろう。

デリヘル業を営む主人公が自分の雇っているデリヘル嬢を探すよ、というお話。

2004年に実際に起きた殺人事件がベースとなっている本作。
実際は21人殺害し、犯人はその人らの内臓を食べたという。

「ベース」とあるのでどこまでが事実になっているか分からないが
少なくとも殺しの方法は大変特殊であった為に映画ならではの演出と願いたい。


これまでの作品とは違い今作の殺人犯は割とすぐに捕まってしまう。
自分が殺したと早い段階で自白する。

映画を観ている観客にもこいつが犯人です、こんなことをしましたと見せるのに、
映画内の警察は何も証拠を掴めないでいる。
なんとももどかしい。


ツッコミどころは多く、
◯投げた携帯はそんな簡単に無くなるものか。
◯商店のおばちゃんの意味不明行動。
◯ジュンホは自分の足で鍵に合う家を探そうするが、あれは警察に渡しておけばすぐに解決したのではないか。

警察に頼めない事情も見受けられなかった為ただのおまぬけさんであったのか。

とは言っても今作はジュンホのキャラクター無しではドラマ性に欠ける部分もある。

はじめは殺人の事など信じず、金の為に捜査をするジュンホ。
自分で手掛かりを見つけて行く途中で捕まったヘルス嬢の娘と出会い、情が生まれる。
そして金の為にではなく、娘の為、ヘルス嬢の為に捜査をしていくようになる。

観ている側の気持ちにも彼らがいる事で
ヘルス嬢に助かって欲しいと内心思うはず。

その部分も演出にしてやられているのか、
後味が悪くなる原因の一つであろう。


最初から気持ちの悪い犯人だが
最後の水槽の1カットは更に気持ち悪さを浮き彫りにしたシーンではないか。

後味が悪いという意見が多いがやはりこういう胸をえぐられる作品の方が
記憶に残りやすく名作も多い。


序盤からデリヘル嬢が暴力を受け、かなりしんどくなる為デリヘル嬢の方には
全くお勧めできない作品です。
さよなら種田

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