口の中に血の味がするような後味の悪さが残っている。怒りとかやるせなさとかそういうんじゃないのが全編を通しての味だった。殺人の追憶を見ようと思って間違えた…。
カット割が絶妙。韓国映画でよく観るA地点での音と共に起こるある動きの終点で全然違うB地点の違う動きの同じ音の終点に切り替わるあれが所々ですごく効いていた。ビクッとする上にピリッと全体を締める役割をしていてすごく良かった。
犯人そのものは割と序盤に捕まった上でその証拠を時間内に見つけねばならないというシチュエーションものはよくある構造だし、被害者が生きているかもしれないがどこにいるかわからないというのも割とありがちな中でこの映画のラスト20分は展開として新しさを感じた。後味の悪さも異常だけど。
パラサイトでも同じような描写あったけど、半地下が多くて携帯の電波が届かないってのもまた韓国ならでは。。アクションシーンもしっかりと良いカメラワークで見せているし、タイトルのチェイサーにあるような疾走して追いかけるシーンも中々の臨場感があった。
バイオレンス描写はそこそこあるし、中盤出てきた、犯人の親族のある描写はちょっと立ち直れなくなるレベルだった。あの描写があるからこその動機みたいなものはもう少し濃く描いても良かったように思えるけどあれだけでサイコパスが滲み出ていた。。
雨の描写もすごく効果的だったと思う。車の外から土砂降りと車の中で泣きわめく女の子を捉えたショットが泣きわめいている音は聞こえなくて雨音だけ聞こえてくるのが印象的だった。
細かなアイテム描写も伏線としてしっかり用いてて、だからこそシリアルキラーとしてのヨンミンの恐ろしさが出ていた。
キムユンソク演ずるジュンホの必死さ、表情はすごく良かったし、バイオレンスさ込みでいい役だった。最後のあの描写と表情はちょっと重かった。