コミヤ

生きるべきか死ぬべきかのコミヤのレビュー・感想・評価

生きるべきか死ぬべきか(1942年製作の映画)
4.6
初ルビッチ。

戦時中にここまでナチスを揶揄して大丈夫かという凄みはあるのだけど、反ナチ、反戦という思想やメッセージ性を前面に押し出してはいない。『イングロリアス・バスターズ』の元ネタの一つでもあるらしいが、そこにあった英語、フランス語、ドイツ語など多言語入り乱れている(ランダは訛りまで指摘してた)が故のバレるかバレないかサスペンスは、登場人物全員英語話者の本作には一切なしで、意図的に緊張感を高めるような演出もされていない。ナチ軍人たちは全員アホ。エアハルト大佐と飛び降りパイロット2名大好き。ブラックユーモアもあるが、純度の高い娯楽作で、終始幸せな気持ちになって観ていた。

テンポの良い軽妙洒脱な掛け合いは楽しく、繰り返し言及される劇中劇のハムレットの台詞「生きるべきか死ぬべきか」によって発動するギャグも天丼ではあるけど、毎回笑ってしまった。サブキャラ含め登場人物たちに血を通わる演出、脚本の力の大きさを感じる。

本作やルビッチの弟子?のビリーワイルダーの映画を観るとコメディはもう大分昔に完成しているように思える。
コミヤ

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