けーはち

草原の野獣のけーはちのレビュー・感想・評価

草原の野獣(1958年製作の映画)
3.7
先住民の殺害数を武勇伝として誇る豪放磊落な大牧場主と、父に憧れ男らしく粗暴にガンマンの道を歩む(原題Gunman's Walk)息子。だが、今や西部開拓は終わり何事も銃で片を付ける時代ではなく、法の秩序ある時代。無謀の結果を父親の力で助けられるほど意固地になってより暴れ、取り返しのつかないほど血に手を染めてしまった彼は……時代変化&父子相剋という普遍的な主題のクラシック西部劇。牧場主の息子に優男の次男がいて美しい先住民の混血女と恋をするので、てっきりそっちが新時代の象徴たる主人公かな〜と思いきや、意外にもスポットが当たるのは昔気質のガンマン無頼長男。終わりゆく開拓時代を儚み、己と息子を断罪しながらも偽らざる父の愛情がまろび出るラストは不器用な男の悲哀を大いに湛えている。要所要所でガンファイトはあるが、意外にしんみり、ホロリとさせられる家族ドラマ。