【自由という名の光】
1990年、夏。22歳の青年が大学を優秀な成績で卒業。将来を期待されていたが、ある日、周囲に何も告げることなく無一文で旅に出る。道中で様々な出会いと経験を重ね、アラスカの荒野へ目指す。
自己の人生における真理を探究するために彼は自然に手助けしてもらうことにしたのである。もちろん自然は彼の探究心を邪魔することだってある。それでも彼の心は真理を求めていたのだ。
簡略化すると若者のロードムービーである。広大な自然と触れ合い、道中出会う様々な人に刺激をもらい成長していく。しかし成長すればするほど社会から引き離されることをラストで気付かされた。つまり社会不適合者になってしまったのである。青春は好奇心の塊であるが方向を間違えると取り返しの付かない事になってしまうのだ。
この作品を際立たせてるのは広大な自然はもちろんの事、それに合わす音楽も素晴らしい。しかし僕が注目したいのは彼の妹が彼に送るメッセージだ。
映像には永遠に続く自然の美しさ、音楽にはその自然をさらに美しくする力。言葉には〝ポエム〟を漂わせる、どこか悲しいような妹の声。
この声がどんなに僕の心を惹きつけたか。
《幸福が現実となるのはそれを誰かと分かち合った時だ》
(Happiness is only real, when shared.)
彼は人生においての真理というたった一筋の光を掴みたかっただけだったのである。
彼の姿を見て、あなたは何を感じたのか。きっとショーン・ペンは問いかけているのだと思う。そしてこれが実話であるという事を。
非常にメッセージ性の強い作品であった。
人生に永遠はない。