回想シーンでご飯3杯いける

ウォーリーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ウォーリー(2008年製作の映画)
4.3
ピクサー制作による2008年の長編映画。前年の「レミーのおいしいレストラン」も素晴らしかったけど、この「ウォーリー」は、全然違う路線なのに、またまたとんでもなく凄い。

人類が汚染された地球を捨てた後の西暦2805年。そこで、ただ孤独にひたすらゴミ拾いを続けるロボット「ウォーリー」が主人公。ピクサー史上初と思われる「汚れた」世界観。そして、何と冒頭20分は台詞が無い。最初はDisney+の音声設定を間違えたのかと思ったが、本作は一見子供向けのアニメでありながら、こんなに辛辣な世界観から始まる物語なのである。

人間が捨てたビデオテープや骨董品を収集しながら感情を持つに至ったウォーリーと、そこに突如飛来した謎のロボット「イヴ」の、何とも滑稽で、でも、とても純粋なやりとりが、今までに味わった事のないドラマを生み出す。

HAL 9000に似たメカ等「2001年 宇宙の旅」のオマージュがいくつか散りばめられている他、劇中劇で'60年代のミュージカル映画が登場する等、いくつかのシーンで実写が用いられているのも特徴だ。

ロボットが中心のストーリーで、その対比として中盤から登場する人間は愚かな存在として描かれ、欲に溺れた人間に対する風刺性を感じる。そのテーマは、先日レビューした「Gのレコンギスタ」と少し似ている部分がある。