にゃんこむ

ウォーリーのにゃんこむのレビュー・感想・評価

ウォーリー(2008年製作の映画)
4.5
400レビュー記念。一番好きなピクサー作品。
アンドリュー・スタントン監督の3DCGアニメーション。

○遠い未来の世界。人間は汚染された地球を捨て宇宙で暮らしていた。ゴミ処理ロボットであるWALL・E(ウォーリー)は仲間たちが壊れて動かなくなっても、たった一人でゴミを集め、圧縮して、積み上げる作業を続けていた。ある日、巨大な宇宙船が飛来し、中からロボットEVE(イヴ)が現れる。最初はウォーリーを不審な物体として敵対していたEVEだが、誤解がとけ、2人は仲良くなる。イヴと仲良くなりたいウォーリーは自分の宝物をイヴに見せるが……

ピクサーといえば『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』など、カラフルでワイワイした子供向けアニメーションというイメージが強かったのですが、この作品は序盤から荒廃した地球を舞台にlロボット2台(+ゴキブリ)くらいしか出てこない、極力台詞を排除した作りになっています。

このコンセプトの作品をピクサー名義でよく出したなぁと感心します。だって前半は子供向けとは到底思えない作りなんですから。
しかし、そこはピクサー。仕草や表情などでロボットの感情を表現しており、台詞が少ないという大人向けの雰囲気でありながら子供にも伝わるような工夫をしています。

後半は宇宙に飛び出て人間の住む宇宙船へ。
宇宙船で暮らす未来人達は、コミカル域を超えないけれど、どこか不快感を感じるデザインです。
赤ちゃんの体に大人の頭が付いたような不気味さがあります。そこから一見ユートピアに思えるような暮らしも、現代から見ると、どこか綻んでいるような印象を与えてくれます。
また、ウォーリーが好きなミュージカル映画や以前の宇宙船の艦長などに実写化を使っているのは、CGと対比させたときに、未来人の人間性の欠如を表すためだと思いました。
宇宙船には地球の環境が整ったら戻ろう、という建前があるらしいですが、何かしらの努力をしているわけではないので、要するに一度地球を捨てている。そこからロボットたちの手を借りて地球(=人間性)を取り戻す。
ウォーリーが主役でありながら、人間達を中心とした物語のバックボーンがとても好きな作品です。
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