Toineの感想文

コックと泥棒、その妻と愛人のToineの感想文のレビュー・感想・評価

5.0
【一瞬たりとも瞬きしないで視界に入れて】
あるレストランを舞台に10日間の人間模様を描いた強烈な傑作。
もちろん行き着く先は崩壊。
大好物の滅びの美学。
美食ものの映画の中で他の追随を許さない。
断トツに好き。

この世で1番好きな映画監督ピーター・グリーナウェイ様の作品感想文を久々の久々に投稿出来ることを心より嬉しく思います。
しかもこちらの作品に至ってはTSUTAYAさんでレンタル出来る上に、何とU-NEXTさんで配信までされているという!!
発狂!ここはどんな世界線?!
わたくしにとってこんな贅沢な事は御座いません。

グリーナウェイ監督作品は全てディスクでコレクションしておりますが勝手な義務感で定期的にTSUTAYAさんでレンタルしU-NEXTさんの配信を観てからの私物ディスクも再生ガン観♡
トライアングル鑑賞で堪能しております。
ああ幸せ♡♡

キャストのミレン様の体を張ったやる気みなぎる演技や終始悪態をつくDV最低キチ○イ旦那役のガンボンさんのマシンガントークが見所です。
さり気なくティム・ロス様も出演されてます。
イケメン。

んで、今作も劇伴はお約束のマイケル・ナイマン氏。
衣装デザインがジャン=ポール・ゴルチエ。
4つの場面ごとに衣装と照明の色が変わるとは何て贅沢な。
作風とガチはまりでした。
冒頭でDV旦那と舎弟たちが着ていたお洋服…監督が大好きな17世紀のオランダ人の服装から着想を得てゴルチエ氏にデザインして貰っているのがバレバレでニヤニヤしてしまう。

レストランに飾ってあったフランス・ハルスの大作絵画「ハールレムの聖ゲオルギウス市民隊幹部の宴会」が霞むほど圧巻の舞台美術。
初期作品から一切ブレない一点透視図法やシンメトリーへの固執。
美しいが過ぎる色彩。
そして横にじわじわ流れる長回し。
それらを繰り返すしつこさ。
全てが完璧のその上の上に突き抜けている。
好き!大好き大好き大好き。

そうなるだろうなと予想のつく終わり方なのですけれど綺麗なまとめ方だしある意味胸スカで気持ち良い。
美食ものならばあのむせ返るような醜悪美のカットをオチとするのが大正解だしセオリーだと思います。
最後は絵画の人物達に見つめられながら…。
やはり文句のつけようがない完璧な作品でございます。