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何という行き方!のKSatのレビュー・感想・評価

何という行き方!(1964年製作の映画)
4.5
超面白い!!!究極のアゲマン・シャーリー・マクレーンのコメディ。

相手役はなんと、ディーン・マーティン、ディック・ヴァン・ダイク、ポール・ニューマン、ロバート・ミッチャム、ジーン・ケリーという、ゾッとするほどの豪華さ!

ディーン・マーティンの悪辣ぶり、ヴァン・ダイクの頓痴気なあの感じ、ロバート・ミッチャムの眠そうな目と石のような面構え、いつも通りなジーン・ケリー、そして、マジで似合わないパリジャンのポール・ニューマン!

豪勢なセットに衣装、歌に踊りにと可愛らしい表層とは裏腹に、自分はあくまでも素朴な暮らしで幸せを謳歌したいだけなのに言い寄る相手が片っ端から成功してしまいそして自滅するという、ブラック極まりない内容。

もちろん、イーディス・ヘッドによる豪華絢爛な衣装は目を引くが(正直、この時代では既に流行らなくなってきたデザインばかりだけど、マジでこの映画はこの人の集大成といえるのでは?)、何度も何度も現れる喪服姿のマクレーンには爆笑必至だ。

各結婚生活の楽しい日々を、チャップリンを髣髴とさせるサイレント映画や50年代黄金期のハリウッド大作、あるいはフランス映画の名作やミュージカル大作のパロディで表現するのも楽しいけど、さりげなく「クレオパトラ」の失敗をフォックスが自虐ネタにしたり「ケイリー、マーロン、フランク、みんな落ち目だ」とジーン・ケリーに言わせたり、同時代のフランスで巻き起こっていたヌーヴォー・レアリスムの芸術家であるジャン・ティンゲリーの「動く彫刻」やニキ・ド・サンファルの「射撃絵画」をパロったりと、かなり毒が強い意地悪な映画だ。

だけど、どうかしてるほどのテンポの良さに「チャーミング」を絵に描いたようなシャーリー・マクレーンの魅力が炸裂していて、いつまでも見ていたい!

「あれ?でもこんなに何回も結婚してるのに、なぜ子供が生まれないんだろう?」と思ったら、それがちゃんとラストに生きているのも最高。映画において、夫婦の物語が家族の物語に変化する瞬間は、いつだって尊い。
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