アンゲロプロスの中でも比較的取っ付きやすいといわれるこの映画、未だに観ていなかったので初鑑賞。
ドイツに住むという父に会うため、夜中に列車に乗り込む姉弟の「乗っちゃった！」というところを見て、何だか宮崎アニメのようだなあと思っていたら、警察署の場面で無事、いつも以上のアンゲロプロスになっていて安心した。ホンマ国境越えるの好きよなあ、アンゲロプロスは。
雪の中で立ち尽くす人々、海の中から突如現れてヘリコプターによって持ち去られる巨大な手、ヴァイオリン弾きのおっさん、衣装を売り払う旅回りの劇団、逃げ出す花嫁と死にゆく馬。
そして、永遠に瞼に焼き付くようなラストショット。
何かもう、理屈じゃないよね。ただただ、美しい情景の連なり。
でも、想像していた以上にシビアで生々しい残酷な展開もあって、何とも言えない気持ちになった。あの劇団の青年の立ち位置も、聖とも俗ともとれず不思議。散々ロングショットで見せてきたのに、誰もいない夜の道路で抱きしめられて初めて彼女が泣くところ、そこで突然アップになるのはズルいよ、、、
それにしても、アンゲロプロス映画で毎回出てくるあの黄色いレインコートの人たちは一体何なんだ？
