KSatさんの映画レビュー・感想・評価

KSat

KSat

大阪の大学で映画を学んでいた。現在は都内に勤務。
よく、前に観た映画にレビューを書き加えたりします。

好きな監督:キューブリック、リンチ、ブレッソン、シュヴァンクマイエル、ハネケ、ヘルツォーク、アントニオーニ、ブニュエル、キェシロフスキ、ロメール、ルコント、タランティーノ、ゴダール、アルモドバル、コーエン兄弟、カーウァイ、ギドク、バートン、ウィーラセタクン

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飾窓の女(1944年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

一切の無駄がなく、二転三転するノワール映画としても一級ながら、その驚くべき結末により、一気に夢幻的な御伽噺と化す。ズルすぎる。

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

言わずと知れたアニエス・ヴァルダの代表作にして、ヌーヴェルヴァーグを代表する一作として知られる名画。主人公のクレオがガン検査の結果を知るまでの2時間。

時間ごとに細かく章分けをしたり、カット割がフェ
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ナイルの娘(1987年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

遠くからの部屋の撮り方、街の風景を挟むインサートの挿れ方、ネオン街など、小津的な要素はいくらかあるが、窓からの光や教室の黒板、電灯の色はまるっきり違う。そうか、これがホウ・シャオシェンか、とひと目で理>>続きを読む

暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

4.0

「伝奇集」に収められたボルヘスの短編を、ベルトルッチが映画化した奇作。

ファシズムに対する抵抗運動の末、何者かに殺された父。その死の真相を探る、父と生き写しな息子の彷徨。つげ義春の「ゲンセンカン主人
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メイド・イン・ホンコン/香港製造 デジタル・リマスター版(1997年製作の映画)

4.4

とにかくダッサい映画ではあるが、ここまでダサさを極めてしまうともはやカッコいい、という好例。さらに、前半のコメディタッチから後半の悲劇への移り変わりは純粋にスゴいとしか言い様がない。

スタッフ5人で
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それでも夜は明ける(2013年製作の映画)

3.5

ヴァイオリニストとして自由に生きていた黒人が騙されて拉致され、奴隷として売り払われ、12年を生き抜いた理不尽すぎる噺。

夜闇のカットなどは絵画のようだが、「SHAME」同様、元が現代アートの人だから
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あ、春(1998年製作の映画)

3.6

長回しは控えめだし、キャメラは人の動きをパンで追うだけであまり面白くない。

しかし、唐突に佐藤浩市の腹に吸い付く斉藤由貴や屋上の異様な患者達、異常な盛り上がりを見せる節分の情景、冒頭からたびたび現れ
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砂漠の流れ者(1970年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

黒沢清の「ニンゲン合格」の下敷きにもなった、サム・ペキンパーの怪作。

以下、ネタバレを含むが、両作を比較すると、以下のような共通したプロットが見られる。

・最後まで明確にされない主人公の過去
・主
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泣き虫しょったんの奇跡(2018年製作の映画)

3.4

90年代のサクセスストーリー系の映画を観ているかのよう。新作映画を観た気がしません。

タイトル詐欺かよ、と思うほど、松田龍平は泣かないし、全体的にかなり地味なつくり。最近の映画にありがちな後日談的な
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蒲田行進曲(1982年製作の映画)

3.5

今見たら女の扱いが笑ってしまうほど酷いし、一から十までダッサい映画だけど、ここまで来たら逆に素敵、というタイプの映画。

松坂慶子はガチでべっぴんだし、なんだかんだでダレることがない。舞台みたいなオー
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告白小説、その結末(2017年製作の映画)

3.4

ポランスキーの映画としての要素はもちろんあるが、ストーリーのテンポや時間の省略、虚実の曖昧さなどを見るに、朝安の色が強い印象。

とはいえ、「ミザリー」や「ユージュアル・サスペクツ」、あるいは「仮面/
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焼肉ドラゴン(2018年製作の映画)

3.2

試写会にて。

「焼肉ドラゴン」という空間の中に人が出たり入ったりする様子や動きの大袈裟さなんかを見ていると、完全に演劇。せっかく撮影が山崎裕なのに、どう撮ったらいいかわからない感じが強いし、部屋が狭
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

3.0

今年一の期待外れ映画。

まず、アーミー・ハマーが明らかにおかしい。劇中で爺婆が言っていた通り、どう見てもバカなアメリカ人にしか見えず、知性も繊細さも奔放さも全く感じない。故に、なぜ主人公が彼に惹かれ
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ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.9

PTA映画にしてはやや地味な印象。撮影がいつものロバート・エルスウィットやミハイ・マライメア・Jrではないからか、映像に棘がないのは少し残念(今回の映画にはDirector of photograph>>続きを読む

ルイ14世の死(2016年製作の映画)

4.1

映し出されるのはずっと寝床のまわりである。何も特別なことなど起きない。ただ、「王」がビスケットを食べ、帽子を脱いで挨拶をし、ワインを飲ませられ、水を欲し、そして死にゆくばかりである。

だが、驚いた。
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一寸法師を記述する試み(1977年製作の映画)

4.0

一寸法師と呼ばれている小人が、派手な見た目の女に欲情する様を、「消しゴム」同様のビデオ加工で表現。

寺山の女性コンプレックスが凄まじすぎて、泣けてしまう。スクリーンを突き破ったり、箱を並べたりといっ
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消ゴム(1977年製作の映画)

3.6

ビデオ映像の加工をして映画の新しい試みに挑んだ一作。

消しゴムの名の通り、あらゆるものが消されてゆく。忘却や死の悲しみと切なさ、暴力性が凄い。

迷宮譚(1975年製作の映画)

3.7

寺山版「どこでもドア」。最後には、ドラえもんのポケットを思わせる存在が登場している。

蒼いフィルターをかけたレンズで絞りを弄り、人や風景の細部が現れたり消えたりし、トリックによって現実の空間が迷宮と
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草迷宮(1979年製作の映画)

3.7

大学の時に観たけど、あまり覚えてなくて再見。

寺山の女性コンプレックスのヤバさとエディプスコンプレックスが徹底的に表現されている。

前半の大人しさとは裏腹に、後半の見世物小屋的なブッ飛びが凄まじく
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万引き家族(2018年製作の映画)

4.3

一足先に試写会で鑑賞。

後半はかなり蛇足でダレるし、小さな役に高良健吾や池脇千鶴を配するような姑息さには呆れたのだが、その緻密な描写力はかつてない域に達したと言わざるを得ない。

明らかに汚い部屋で
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ディーパンの闘い(2015年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

それぞれの家族を失った元反政府軍の兵士と女性、少女が似非家族となり、フランスに難民として逃れてからの生活と「闘い」を描く。

暗闇の中からネオンカラーの猫耳がいくつも現れるタイトルが素晴らしい。

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雪の轍(2014年製作の映画)

3.6

いつの時代のどこの国にもある普遍的な世代間のギャップや老い、貧富の差など、色々な要素が散見されながらも、必ずしも「社会派」を気取っておらず、一個人の周囲の取り留めのない噺とたわいのない情景の積み重ねで>>続きを読む

犬ヶ島(2018年製作の映画)

2.1

マスコミ向け試写にて。

何が酷いって、日本人の演技。日本人を完全に「よく分からない言語を話す異世界の人」として描いている。日本人キャストへの演技指導がまともに出来ていないのか、見るに堪えない演技が延
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ブルージャスミン(2013年製作の映画)

3.9

ジャスミンにジンジャーにチリと、やたら香りが気になる、それも中華でも食べに来たかのような名前ばかり出てくる。ジャスミンか生姜や唐辛子なら、絶対に前者の方が優雅で後者は胃がもたれそうだ。しかし、実態はど>>続きを読む

ソウル・キッチン(2009年製作の映画)

3.8

ハンブルクを舞台にシュニッツェルとか出す感じの汚い食堂を経営するギリシャ系のもじゃもじゃ頭と出所したばかりの兄貴を巡るコメディ、と書いたらいいのだろうか。

彼女が遠距離になったり、椎間板ヘルニアにな
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アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン(2015年製作の映画)

2.5

もっと激しく内輪揉めするのかと思ったが、そうでもなかった。なんだか退屈。

コスチュームを着ていない時のキャプテン・アメリカの顔の個性のなさには衝撃を受けた。

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

4.0

これがパルムドールというのはちょっと意外。扱っている題材が現代アートというだけでなく、この映画自体が全体的にビデオアートのような瞬間に満ちている。

この映画の場合、多くの映画とは違い、「物語」や「情
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サン★ロレンツォの夜(1982年製作の映画)

3.2

第二次大戦中、ナチス占領下のイタリアの村から脱出した人々の悲喜こもごも。

こう書くと悲惨な感じがするが、完全に笑わせにかかっていて妙な感じだ。ド田舎の田園風景で村人がわちゃわちゃしてるといってもクス
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女は二度決断する(2017年製作の映画)

4.4

トルコ系の旦那と息子をテロで失った女の闘いを三つの章から語るという重い内容の映画。

ギリシャ人の右翼が悪役として出るところに作り手の強い主観(トルコ系)を感じざるを得ないし、ヒロインが家族を失って泣
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ワンダーストラック(2017年製作の映画)

4.0

1977年と1927年のふたつの時代における、耳の聞こえない子ども二人の家出噺が時空を超えて繋がるという、絵本のようなものがたり。それは、原作者が絵本作家だからこそかもしれない。

それぞれのとる行動
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レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

4.2

少なくとも、三回くらいは泣いた。

闇から入る光、グーンと動くキャメラ、悲惨な境遇のヲタク子供、一生何かに追われる展開など、スピルバーグらしいスピルバーグ映画。スピルバーグ映画のパロディなんじゃないの
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ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.7

黒人問題を扱った映画だというのは前々から聞いていたが、思いのほかとんでもない映画だった。

ガーデンパーティのシーンなどの雰囲気はどことなく60年代以前のサスペンス映画を彷彿とさせる不気味さがあるが、
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スネーク・アイズ(1998年製作の映画)

3.7

ニコラス・ケイジの顔芸映画かと思っていたが、ヒッチコックみたいな超絶技巧のオンパレードみたいな映画だった。

特に冒頭の長回しやホテルの客室を真俯瞰から映すカットなんかは、いつものデ・パルマ同様、わざ
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