LEONkei

リトル・ヴォイスのLEONkeiのレビュー・感想・評価

リトル・ヴォイス(1998年製作の映画)
3.0
籠の中の小鳥はさえずる事にためらい、外の世界に出る勇気を拒絶する。

大好きだった亡き父親の残した沢山の古いレコードを、部屋に籠り聴くだけの生活を送る彼女はリトルヴォイスと呼ばれていた。

誰とも口を利かず必要に駆られ言葉を出したとしても、必要最低限のそれは小さな小さな弱々しい声。

ジュディ・ガーランド、シャーリー・バッシー、マリリン・モンロー…父が残したレコードを聴く事が唯一彼女にとっての至福の時間で、大好きな父と同じ時を共有できる夢と幻の空間。

そんな引き籠りの彼女が誰もが驚く特技の持ち主…それは1000通りの往年のシンガー達の歌声をモノマネできる事…と言う軽いコメディタッチのヒューマンドラマ。

リトルヴォイスが母親に怒りを爆発させ迫るシーンは、見方によってはホラー。

籠の中の小鳥は外の世界が不安に思っていても、自由に飛んでみたいと思うはず。

しかし現実は外の世界は自分の想像とは違い、そのギャップに再び籠の中に塞ぎ込んでしまう。

籠の中は退屈だけど自分が安心できる空間に変わりはない…それでも外の世界への好奇心は絶え間なく続く…しかし不安でまた籠の中へ。

それを繰り返すうちに小鳥は悲しくも外の世界の存在すら忘れ、さえずる事も飛ぶ事も出来なくなる。

不安や恐怖で自力で外の世界に飛び立てないのならば、籠の扉を開け連れ出してくれる誰かが必ずいる事も忘れてはならない..★,
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