1000

ある結婚の風景の1000のレビュー・感想・評価

ある結婚の風景(1974年製作の映画)
4.1
夫婦が10年ぐらいもめる話。
ベルイマンは下手にスピるよりこういう男女のメロドラマを撮ったほうが生き生きしてるよな、と思う。

父権的なイデオロギーとリベラリズムが繰り返し拮抗するものの、これをよりマクロな男女間対立の提喩として読ませるのを拒むような話である。いずれにとってもこれは成長の物語ではなく、ミドルエイジの不可避的な停滞、それを淡々と描いたホームビデオのように思われる。妥協はあっても止揚はとくにない。タイトルの不定冠詞がこの5時間を要約している。

顔アップの切り返し。マウント取られているほうが(後頭部で隠れて)半面になりがちなのが、しごく教科書的で、実直な印象を受けた。瞬間風速では『ファニーとアレクサンデル』に劣るものの、全体的に礼儀正しく精緻な作品である。

冒頭の家族写真を撮るシーンで「子供たちはもういいよ」と言われて引いたのち、二度と娘二人が出てこないという仕掛けも乙だった。一話終わるたび、クレジットとともによく分からん島の風景カットが流れるのにほっこり🏝
1000

1000