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素晴らしき哉、人生!のTKSDのネタバレレビュー・内容・結末

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

金では買えない価値がある。
売ってはいけない価値がある。

誠意ある人生の何と美しいことよ。

思い描いた人生とは違っても、幸せになることはできる。むしろ、思い描いた人生にならなかったからこそ、大切なものに気づけることがある。
ばかやろー、キレイゴト並べやがって…といいつつ、否定できない自分がいる。

序盤の「あれもしたい、これもしたい」という主人公に何か浮ついたものを感じましたが、「重要なのはそこじゃねぇ」ということだったんですね。

昔にこれを観てたら今全然違うことをしてたかもしれないとも思い、はたまた本作に難癖をつけてやっぱりやりたいようにやっていたかもしれないとも思います。

日常の世界が「自分の事を誰も知らない世界」に変わるという筋書きは時折見るけれど、それによって自分の人生がいかに価値のあるものであったかを理解させるという手法は面白い。

世界が元に戻って、自分を知ってる人間を観て歓喜するシーンはグッとくる。

一方では残酷な現実も見せる。
良い人間関係はタダでは手に入らない。お金を提供するのではなく、誠意と敬意を地道に提供し続けて築き上げなければならない。
ただの甘い話ではないんですね。

素晴らしき人生になるかどうかは自分次第。
自分次第でどうにもならんこともあるでしょうが、心構えはかくありたい。

8000ドル盗んだあいつは許しがたいが、「もうそんなこたぁどうでもいいじゃねぇか」ということなんでしょうね。募金額の方がはるかに上回ってましたし。

ラストの蛍の光大合唱はただただ暖かい。

本作に影響を受けた作品は相当な数になるんじゃないでしょうか。いくつかパッと思い浮かびました。

流石の一作。
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