爆裂BOX

ザ・フォッグの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ザ・フォッグ(2005年製作の映画)
3.2
カーペンターの「ザ・フォッグ」を「スティグマータ/聖痕」のルパート・ウェンライトがリメイクした作品です。
生誕100周年を迎えた平穏な小さな港町アントニオ・ベイが濃く深い霧に包まれ、かつて先祖によって殺された怨念に満ちた死霊たちが霧の中から現れて一人、また一人と殺されていくという基本的なストーリーは同じですね。最初に襲われるのが夜にボートで海に出てたパリピな感じの若者な所とかティーンホラーに寄せた感じにはなっています。
オリジナルでは霧の中から現れた亡霊たちはサーベルなどを使って結構直接的に殺していきましたが、今作では霧に包まれた後、ナイフが飛んで目に刺さったり、落ちたランタンの火に包まれて火だるまになった後吹き飛ばされたりとポルターガイスト的な殺し方になってますね。女DJの息子の子守りしてた老婦人がシンクから出てきた手に掴まれて身体真っ黒になって骸骨になる所は見応えありましたが、ゴア描写と呼べるものはなかったかな。オリジナルでゾンビっぽい感じだった亡霊たちも水中や霧の中を浮遊するように移動したり、クライマックスで姿露にした時も半透明だったりとゴースト感が強くなってますね。
オリジナルでは生き物のように蠢きながら町を覆っていく霧は、最新のCG技術で表現されてますが、オリジナルの様などうやって撮っているんだろうという感じや幻想感はあんまり感じられなかったかな。
オリジナルでトム・アトキンスが演じた主人公ニックを「ヤングスーパーマン」のトム・ウェリングが演じてます。都会へ行った恋人がいるけど、ラジオDJと浮気してたり、夜道でヒッチハイカーナンパしたりと結構チャラい。そのヒッチハイカーが帰ってきた恋人エリザベスだと近付いて分かった瞬間驚く所笑っちゃいました(笑)オリジナルではヒッチハイカーだったエリザベスは今作では島出身で帰って来たという設定になっています。演じるのは「96時間」等に出てるマギー・グレイスで美人度はアップしたかな(笑)ジャネット・リーが演じた女性市議とか町長とかはオリジナル程活躍はしなかったな。今作オリジナルキャラのニックの助手の黒人も死にそうで死ななかったな。オリジナルでは最後活躍した神父も今作ではひたすら飲んだくれてるだけでした。
エイドリアンヌ・バーボーがセクシーボイスで演じたラジオDJはセルマ・ブレアが演じてますが、オリジナルでは息子の安否を気にかけてラジオで助け求めながらも灯台に残って町に危機を知らせてましたが、今作では後半アッサリ灯台から出て行っちゃいます。彼女とニックが関係もってた設定とか特に活かされることはなかったな。
オリジナルでは自分達を殺して黄金を奪った町の創設者と同じ6人だけ殺してましたが、今作ではその縛りが無くて、直接的なシーンや死体はないけど炎上する車が放置されたりしてる事から町の住民全体を無差別に攻撃してるようですね。まあ、あんな形で殺されたら憎悪の塊の怨霊になるのは分かるけど、オリジナルでもそうだけど復讐に来るの遅いよな。終盤で追い詰められた町長が「私は何もやってない!」って叫ぶけど、先祖の行いであんなひどい殺され方されるとは酷い話ではありますね。亡霊のリーダーであるブレイクに追われた町長が超常パワーでコロコロ転がされる所は妙に面白かった(笑)
ラストは流石に変えすぎでしょうとは思いましたね。エリザベスは結局生まれ変わりだったの?仇の子孫に生まれ変わるかな?そして何故ラスト女事になったのか。最初から幽霊だったって訳でもないし。オリジナルのホラー的でバシッと決まるかっこよさもあるラストの方がやはり断然好きですね。
カーペンターのオリジナルと比べると当然ではありますが恐怖感や幻想感、カッコよさなどは無くなってますが、こちらはこちらでまあそれなりには楽しめました。