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十月のRinのレビュー・感想・評価

十月(1928年製作の映画)
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平和のために、パンのために、土地のために──エイゼンシュテインがソ連政府中央委員会からボリシェヴィキ政権樹立10周年記念の国家的事業として映画製作を任され、潤沢な予算を与えられて好き放題撮影させてもらった作品とのこと。跳ね上げ式の橋のシーンなど、よくこんなの撮ったなというスゴ映像の連続だったが、『ストライキ』と同様に息もつかせぬ編集に対して息をつかせてくれよと思ってるうちに映画に置いてかれる現象が発生。しかも、『ストライキ』鑑賞時の映画が前に進んで置いてかれる感覚だけでなくモンタージュがクドくて興味が薄れる感覚も多分にあったので苦しかった。セルゲイ全部観るゲイ、と軽いノリでIVCのDVD BOX買ってセルゲイ強化週間始めたけど、すでに苦手意識が顕在化し始めている。2年前くらい前に『戦艦ポチョムキン』を観た時はそれほどだったんだけどな。

でもショットも編集もやったるでの気合がレベチなので軽い衝撃は多数あり。総攻撃の合図となる軍艦(オーロラ号という名前らしい)の砲撃のショットの次に攻撃目標となる宮殿のショットをつなぎアイリスアウトさせるシーンとか。こんなアイリスアウトの使い方初めて見た。上手(かみて)の近景に大時計の文字盤、下手(しもて)の遠景に武装したボリシェヴィキが一斉に駆けてゆく様子をとらえるショットも凄い。しかも使われている時間は1秒にも満たない。贅沢。

跳ね上げ式の橋に倒れた白馬がクロースアップから超ロングショットまで複数の距離から何度も映された後、跳ね上げられた橋から重力に負けて落下する。将来のソ連崩壊を暗示している、などと言いたくなってしまうが、流石にそんなことはないのかな。

【死ぬまでに観たい映画1001本(第五版)】
302/1001
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