三樹夫

ヒーローショーの三樹夫のレビュー・感想・評価

ヒーローショー(2010年製作の映画)
4.2
この映画の世界にだけは入りたくねぇ。まあ、この映画は東大阪大学の学生とその友達のゴト師がリンチ後生き埋めにされ殺されたという実際に起きた事件が元になってるし、殺されることはないにしてもこういう世界は実際あるんでしょ。
この映画はチンピラ、クズ、アホ、マヌケしか出てこない暴力映画で、その主題となる暴力もチンピラの一番たちの悪い暴力。ここらへんで勘弁しといてやるわとさじ加減が分かってる奴がいなくて、暴力振るったその後のことも特に考えってなくてっていう、お前ら暴力振るってその後どうするつもりだったんだよと思うわけですが、全く何も考えてない。頭の中にプリンが詰まってるような連中の程度の低い暴力で、だからこそたちが悪い。しかも、出てくる金額が60万だの100万だのみみっちいし、このなもんで殺されちゃたまったもんじゃねぇな。

冒頭の漫才終わった後のユウキ(ジャルジャルの福徳の方ね)に対する剛志の接し方、ああいうスキンシップがもう嫌。一発でこいつらと関わり合いになりたくないと思える。この映画はメインの登場人物以外にも徹底的に作り込まれてて、ヒーローショーを子供と見に来た母親(ガキがトイレ行きたいだの知らねぇよ)、配管工事してる家のおばはん、サラ金の受付とこの映画の中にはほぼまともな奴が出てこないようにしてる。サラ金の受付のねーちゃんはおそらくエンタの神様を毎週見てるぐらいで私はお笑いマニアとかいうタイプだろう。パープリンっぷりがいいね。ユウキもサラ金の受付相手に夢語ってどうすんだと、頭悪い奴のオンパレード。完全に動物園状態。作り込みとして他にも良かったのは、カラオケ行かないっすよのチンピラとその友達が車の中で流してた歌。これぞ知能指数ゼロという歌流してましたな。ユウキと剛志のお笑いに関しては、こいつら楽しいと面白いを勘違いしてやがると、とことんどうしょうもないですね。

リンチして生き埋めにまで1時間ぐらいあったが、この映画は速いテンポで見せる映画じゃないけど、もうそんなに経ってるのかと思った。細部にまで作り込まれてるんでぐいぐい引き込まれる(特に人物の作り込み)。アホもいくところまでいくとサイコパスの域に達するんではないかとカラオケ行かないっすよのチンピラは教えてくれた。
この映画は若者に向けて作られているのが、ユウキというキャラをもってして、特に最後らへんのユウキを見ているとよく分かると思う。
三樹夫

三樹夫