最初のうちは具体化された映像が新鮮で印象的だが、イアーゴの策略が功を奏するにしたがって演技で表現することが難しくなっていく。例えば、オセロがイアーゴの話を聞いてあっという間に疑惑に取り憑かれる場面。戯曲で読む方が不気味な雰囲気をよりリアルに感じられると思った。
シェイクスピア劇は韻文による舞台。現実をデフォルメした形式での表現なので、現実と同じように事が起こる形を想定していない。だから原作に忠実な映画化は難しいのだろう。
全ての筋書きを仕組んだのはイアーゴ。悪知恵の働く小悪党はどこにでも常に存在する。現在は、インターネットを駆使して様々なイアーゴが大活躍中。気をつけろ！ 百戦錬磨の勇敢にして賢いオセロですら弱みを突かれて落とされたのだ。奴らの手にかかれば俺やあんたはイチコロだろうよ。
