Pinch

スケアクロウのPinchのレビュー・感想・評価

スケアクロウ(1973年製作の映画)
4.3
アメリカ合衆国の厳しい現実を、フィクションという特殊な形とはいえ、生のままぶつけられている感じ。ジーン・ハックマンとアル・パチーノという超名優の名演技が現実の厳しさに拍車をかける。全体的に暗い雰囲気の中で虚飾を排し、あえて安易な結論を導かない。

同じようなことは身の周りでもたくさん起こる。暴力などの単純な手段に訴えて自分を保持すること、現実に耐えられず直情的に(または決断して)逃げ出すこと、逃げ場がなくなり崩壊しかける(もしくは実際に崩壊する)こと等々。

それでも、この作品には貴重な何か――「友情」という単純な括りでは表現できない大切なつながりのようなもの――がある。それがあれば、ラストシーンのマックスのようにカッコ悪くても惨めでもいいじゃないか。そこにアメリカという国の希望がある。
Pinch

Pinch