Hirommy

都会のアリスのHirommyのレビュー・感想・評価

都会のアリス(1973年製作の映画)
4.5
「酷い旅だった」と嘆く主人公フィリップに「自分を失ったら見るもの聞くものすべて通り過ぎるのよ」と恋人。続いて「どう生きるかなんて教えられない」と別れを告げる。なんて潔い!他責思考の甘え人間と一緒にいてもお互い幸せになんかなれないのだから別れて正解。その後、母親に置いていかれた9歳の少女アリスを預かり祖母の家探しをすることになるフィリップ。大の大人が一皮剥けて成長するためには、こういう外部強制圧力は有効なのかもしれないな。責任感というよりは、今自分の身に起こっていることの受容や諦念から少女と供に時を過ごしているかのよう。子ども慣れしてないせいもあるだろうけど、少女を変に子ども扱いしないのが良かった。そして少女と過ごすことで対処力が鍛えられ、徐々に活力を取り戻していくフィリップ。陰鬱な役柄だった「まわり道」とは違い、このポジティブな変化は見てて気持ちが良かった。しかし、こんなにも自分を鍛えて成長させてくれる子どもってやっぱり偉大だな。年齢的に自分はもう二度と、若いお姉さんや若いお母さん的存在として子どもと接することはできないんだ…の思いに至りちょっと哀しくもなり。まあ、仕事でも家でも充分堪能はしたけどね。
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