これは『ロリータ』の裏なのでは。フランスからアメリカにやってきたハンバートが母からドロレス・ヘイズを奪い虚無に向かって突き進む逃避行を描いた『ロリータ』に対して、本作は娘を図らずも押しつけられてしまったフィリップがアメリカから自分たちの故郷を探しにドイツを旅する物語。
ハンバートは散々ぱら警察にビビりまくり、フィリップはあっさりと警察にアリスを連れて行くのも対照的だし、2人の行く末が宙ぶらりんのまま爽やかさを残して終わるラストも正反対。
一方で共通項も結構見つかる。男2人はどちらも物書きで、アメリカという地で疎外感を覚えているし、アリスもドリーもアイスを美味しそうに食べる。