香港ノワールの傑作と称されるのも納得。最後の最後まで見事としか言えない。
好きなシーンを聞かれたら、クライマックスの屋上と迷うところだが、オープニングのオーディオ店かな。本当に何気ない会話、動きなのに、お互いを認めたことが暗示されている。しかもあとで回収される重要な伏線。結末を知ってから見返すと…泣ける。
女性陣の配置と会話も巧妙。ヤンが精神科医のリー先生に問いかける。「オレをどう思う?善人?悪人?」ラウの彼女マリーが書く小説。「もう書けない。善人か悪人かわからない。わかるのは本人だけ」
自分を見失い、道に迷う心理描写がドラマに奥行きを出している。
イヌはどっちも1匹だけじゃなかった訳か。無常感漂う濃密な102分だった。