神田神保町シアターで特集上映中の「あの時代の刑事(あのときのデカ）」全16作の一作。
1960年(昭和35年）公開の日活映画、主演は益田喜頓、その息子に青山恭二。この二人が親子の刑事を演じるシリーズの第六話とのこと。監督はこの刑事物語シリーズ全作が小杉勇。

小さな子どもが殺人事件の重要な目撃情報を握っているというストーリーは、洋画にもよくあったように思うが何か影響があったのかと調べてみると、日活の作品データベースにこんな記述を見つけた。
以下引用
”子役の松岡高史は益田喜頓とイギリス映画『追いつめられて・・・』を鑑賞し、1959年のベルリン映画祭特別子役賞を受賞したヘイリー・ミルズの演技に影響を受けたとのこと。”

そうあの一世を風靡した子役スターのヘイリー・ミルズ、日本でもその後「罠にかかったパパとママ」で大ヒットとなった♪Let's Get Togetherの彼女。

お話は人情派で現場叩上げの親父刑事の益田喜頓と、親父より出世した息子刑事の青山恭二が、手掛かりの無い殺人事件の唯一の目撃者の幼い子どもから証言を取ろうと苦労する。人が死んだり、銃撃されたりと事件が続くが何だか穏やかに感じてしまう。
演出の所為か、はたまた懐かしい昭和の東京の風景の所為か上映時間54分の時の流れがゆっくり感じる。

益田喜頓はその名の通りバスター・キートンに通じるチャーミングな魅力がある。対して息子役の青山恭二はこの特集上映でも他に上映される「機動捜査班」シリーズも主演しているが、今一つ魅力が無い。
当時日活では、石原裕次郎の主演映画がヒットし次第にその陰に隠れるようになってしまったようだ。そして映画俳優に見切りをつけた彼は、後年なんと漁師に転身し漁業組合長を務めたたそうだ。なんとまぁ映画のような行く末よ！

スコアは、懐かしい上野駅と窓の開く汽車、それにチラッと映った赤帽さんで加点(^_^)v
あっ、それと神保町の得も言われぬ深い香りの珈琲に！

益田喜頓と子役（七色仮面グッズと虫歯だらけの前歯最高）の絡みだけで泣けてくる。捜査打ち上げで出てきたバターケーキが豪華だった。