2023.3.15
自宅にて鑑賞
NHK世界サブカルチャー史、60'sアメリカにて、時代の作品として紹介されてたかな。
戦後の「黄金時代」から、キューバ危機、ベトナム戦争の混迷、公民権運動を経て、「空白の70's」に向かうアメリカの雰囲気を映し出す。
ベッドシーンが無ければ、子供にも観せたかった。都会で生きている人は、どこかにこういうものがあるよ、と。
田舎から来たカウボーイ青年と、闇社会に生きるネズミ男がニューヨークで出会い、誰からも忘れられて暮らす姿を描く。
主役ふたりが良い。カウボーイは哀楽を気持ちよく表し、ネズミ男はベタベタとつきまとう。それでいて、言葉には出さずに、少しずつお互いを想いやっていく。
お互いの過去は語られない。その代わり、フラッシュバックのように回想シーンが走る。全部わかったら、つまらなくなる。何しろ彼らは、「いま」を生き延びようとしている。その先に何があるかはわからない。
興味深いシーンもいくつか。
回想シーンのサイケデリックなところ。
前半、ベッドシーンでテレビチャンネルが切り替わるとことか。
後半、早いトイレ休憩をしてしまい、ふたりで笑うところとか。
ふらっと流れる曲が良い。
何とかならないものか。これは高畑監督の「火垂るの墓」や、是枝監督の「誰も知らない」で感じたことに似ている。
全体に漂う孤立感、21世紀の日本じゃないか、とも思う。
そして、もしかしたらカウボーイのようなタイプが、トランプ大統領を生み出したのだろうか。