けーはち

忠臣蔵のけーはちのレビュー・感想・評価

忠臣蔵(1958年製作の映画)
3.7
映像化にあたり膨大なエピソードの取捨選択・重み付けをしなければならないのが「忠臣蔵」である。166分の尺でなお前半の浅野内匠頭(市川雷蔵)が刃傷・切腹に及ぶまでは駆け足、後半にかけて丁寧の印象。特に吉良邸侵入の要となる図面入手の際の岡野金右衛門(鶴田浩二)と大工の娘の悲恋の他に、大石内蔵助(長谷川一夫)の京都での遊蕩、彼に近づく女間者(京マチ子)のドラマ周りは重みがおかれている。また人情噺として印象的な赤埴源蔵(勝新太郎)や勝田新左衛門の舅(志村喬)のエピソードが息抜き的に入り、このあたりのメリハリが退屈させない。“大石東下り”の垣見五郎兵衛(中村鴈治郎)のくだりも良い。大映オールスターの講談色の強い、忠臣蔵入門にもうってつけの正統派と言える1本。