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犬神家の一族のNのレビュー・感想・評価

犬神家の一族(2006年製作の映画)
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ベタなミステリー(そもそも横溝正史や市川崑の1976年版がその源流?)なナラティヴの冗長さを少しでも軽減させるための装置が散りばめられてる。セリフの応酬が重なり合うところや、復員男が接近する際の過剰な高速カッティングや、ほとんどスポットライト的に役者を照らすスタジオの照明だったり。一瞬たりとも退屈にさせるまいという画面上の演出の痕跡を肯定したい。でもこのベタなクリシェ感が何周も回った上で自己模倣的にギャグとして昇華されてしまっている感が意図されたものなのかは気になる。コメディとして消費されてしまうことを引き受けた上で、それでもなお21世紀にこの王道ミステリーを大真面目に撮っているとしたら、めちゃくちゃいい映画に思えてくる。
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