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大列車強盗団の一人旅のレビュー・感想・評価

大列車強盗団(1967年製作の映画)
4.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ピーター・イエーツ監督作。

1960年代のイギリスで実際に発生した郵便列車強盗事件を映像化したサスペンス。
ピーター・イエーツの初期作品。
映像的に派手な演出は控えめではあるが、事件の一部始終をドキュメンタリータッチで映し出しているためリアリティは一級。
郵便列車襲撃のための下準備が丹念に描かれている。資金獲得のための宝石商襲撃、列車襲撃に必要な人材の収集、襲撃後の行動計画などなど・・・。
列車襲撃シーンは緊張感でいっぱいだ。決められた手順通りに秒単位で行動していく。完璧な連携プレーが鮮やかで、金の詰まった袋をバケツリレーの要領で次々と車に積み込んでいく。対向列車が通過する時間も事前に把握し、口笛を合図に一斉に茂みに隠れる。強盗団の動きには一切の無駄がない。やっていることは大犯罪だが、その手際の良さは職人技、もはや芸術の域だ。
基本的に静謐な作品だが、襲撃シーンでは緊張感を煽るような音楽がここぞという時に流される。襲撃前の比較的地味な映像から一転、襲撃~襲撃後にかけては緊迫感で一色になる。軍用ヘリが低空飛行で接近するシーンもダイナミックで迫力満点。静と動の対比が抜群だ。
徹底的に計算された襲撃作戦の論理性とは対照的に、愛や焦りといった生身の感情が災いして次第に歯車が狂わされていく様は、それまで完璧に見えていた強盗団の唯一の弱点である心の弱さを浮き彫りにしている。
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