Lalka

鶴八鶴次郎のLalkaのレビュー・感想・評価

鶴八鶴次郎(1938年製作の映画)
4.3
『残菊物語』とは同列で対極。まず、芸道物で溝口の幼馴染み川口が原作、山田五十鈴が出演してるとなると『残菊物語』と比べたくなる。まして両者が新派劇で重要な位置を占める題材なのだからそれを知っている人はそう思うことだろう。

また、結婚していた成瀬の低迷期とかつて言われていた時期の異色作になるのだと思う。『浮雲』や『秋立ちぬ』が成瀬らしいとは言いにくいところがあるのだからこれもそうでしょう。

カット割りに表現の省略と成瀬印で映画の作りの上で『残菊物語』と全然違う。話の上でも違うわけだけど零落れて地方巡業したりとか相似点も多い。あと2人の喧嘩だけどいわゆるツンデレってより、人生を左右するような爆弾的なことを平気でしてしまうのは、やはり設定が芸の世界ならではというべきところか。客が芸をわかってないのもやっぱりどっかで見た感がある。

零落した鶴次郎が回想してるのだろうか、あそこはこないだ観た『腰辨頑張れ』を思わないではいられない。

ツンデレなカップルの喧嘩なんてのは、下手な撮り方でなきゃ笑えるもの。もちろん経験的なことから入れ込めるかもあると思うけど、一々、自分の女に不平言うのなんて男なら大抵あるでしょ?それをラスト10分で笑いから感動に変えてる。
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