Keigo

仮面/ペルソナのKeigoのレビュー・感想・評価

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)
4.5
続けてベルイマン三作目。
やっぱり三本ぐらい観ると、その監督の個性というか作家性のようなものの手触りが、なんとなく実感出来てくる。

冒頭からセンセーショナル!怒涛のモンタージュに白背景のクレジットはスタイリッシュでもありながら強烈。ベルイマンはド頭に何かしら一発かましてくるな。

『狼の時刻』同様こちらもだいぶと不穏な空気が漂ってはいるものの、その不穏さのニュアンスが若干異なっているような気がした。その差異にどんな意味があるかもまだ分からないし、どう違うかと言われてもすぐには答えられないんだけど…そもそも不穏という言葉が捉える範囲が広すぎる。そしてそれを細分化した微妙なニュアンスの違いを表す言葉を自分は知らないという。とにかく、ちょっと違う。

どの辺からだろう、もしかして…?と思い始めたのは。その仕掛けというか、描かれていた内容自体にはもちろんなるほどな〜と思わされたし理解出来ていることも出来ていないこともあるだろうけど、個人的にはその内容云々よりもその“伝え方”の方に、それらの内容をどう映像化して表現するかの手法の方に感銘を受けたという感じ。

人物、風景、陰影、構図、既存の発想に囚われない自由な画面がとにかく美しくて刺激的で、ただただそこに魅了された。


正直この先に書くことは自分の中でも考えがまとまってないし、そもそも自分が理解出来ていないだけという可能性も十二分に有り得るし、言語化するのが非常に難しい感覚なんだけど、とりあえずメモとして残す。

冒頭のあのモンタージュやラストシーンは、アルマとエリーサベットの物語とどんな関係にあるんだろう。象徴的に差し込まれた映像(男根や蜘蛛や羊の屠殺や釘を打たれる掌)が何かを表象していることは明らかだけど、本編というかアルマとエリーサベットの物語と全く無関係の映像を差し込んで何かを表象させるなら、何でもありじゃないか…?映画という表現形式における批判的でありメタ的な構造としての演出なのかとなんとなくは思うけど、それが何か独立して浮いてしまっているような、上手く繋がっていないような印象を受けた。さらにメタ的にベルイマン自身と結び付けて私小説的に解釈すれば説明は出来るのかもしれないけど、少なくとも作品だけを観るとその関係性が、それが試みとして成功していると言えるのか自分には分からなかった。

という若干の違和感もありつつも、結局内容として自分にとっては『狼の時刻』の方が分かりやすくて腑に落ちただけで、今作の方がより難解で理解出来なかったというだけな気もかなりしています!

何にせよ先述した通り、とにかく映像表現としてものすごく魅了されたのでその点で『狼の時刻』より0.1高いスコアを付けたけど、どちらも甲乙つけ難い最高の映画体験でした。

ベルイマンに気が引けていたのが嘘のように興味津々になりました!のんchanさん、ありがとうございました!🙏


GEOレンタル 5/18
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