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仮面/ペルソナのKAJI77のレビュー・感想・評価

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)
4.7
これは名品…!!スウェーデンが産んだ映画界の鋭才、イングマール・ベルイマン監督作品、『仮面/ペルソナ』(1967)を鑑賞しました!

【あらすじ】
精神病院に勤める看護婦のアルマは、新米ながらも仕事に対して熱心で、プライベートでも恋人と婚約するなど順風満帆な日々を送っていた。そんなある日、病棟に舞台女優であるエリーサベットが入院する。なんと彼女は舞台の上で、突然言葉が発せなくなる失語症を患ったらしい。兼ねてより芸術に憧れを抱いていたアルマは、彼女と仕事の関係以上に親しくなっていく。しかし、エリーサベットが何故話をしないのかは依然分からないまま…彼女を待ち受ける真実とは…?

かなりよく出来ている…!スタンリー・キューブリックや、マーティン・スコセッシ、スティーブン・スピルバーグなど、名だたる映画人が影響を受けた北欧の至宝、イングマール・ベルイマン監督。彼はフェデリコ・フェリーニ、黒澤明と並んで「20世紀最大の巨匠」と呼ばれ湛えられる事も少なくないんだとか。彼の作品を観たのはこれが初めてでしたが、評判通りの傑作…!一体何食べたらこの脚本を執筆するに至れるのか。全く古さを感じさせない、「天才」の代表作の名に相応しい一本でした…!

「自分は理想と行動が裏腹だ」
今ではすっかり知られるようになった「ペルソナ」という言葉は、元はユング心理学の用語の一つであり、「個人の持つ外的な面」の事を指します。例えば、「彼は真面目キャラだ」ですとか、「彼女は天然キャラだ 」とか。これらは他者からの客観視によってラベリングされた"外付けの個性だ"とユングは定めています。つまり、一見するとその人の内面的な性格を言う表現に見えて、実際はその個人の方が型(仮面)に無理に同調し、自分の存在を保証する為の手段として利用しているに過ぎないというのが、この「ペルソナ」の考え方です。

この視点に立つと、僕は学生の間では頻繁に耳にする「陽キャ」だとか「陰キャ」という大味の区分に、未だ納得がいっていません。笑
本気で人間の精神を「一面性の長物だ」と曲解しているのなら、彼らはZ軸の存在に気が付きもしない「二次元の住人だ」と言われても文句は言えないはずです。(憤慨)
※決して僕個人が「陰キャ」だと揶揄されるからこう言っているのではありません。決して……。(涙目)
…どうせ言うなら「アクティブなひきこもり」とか形容して欲しいものです。

それはさておいて、この作品『仮面/ペルソナ』は、そんな人間の奥行を、2人の登場人物を用いて実に巧妙に描写しています!ぜひネタバレを見ずに体当たりで挑んで欲しい傑作でした!!高評価です!!
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