平田一

エル・マリアッチの平田一のレビュー・感想・評価

エル・マリアッチ(1992年製作の映画)
3.8
人違いで殺し屋たちに追われる羽目になってしまった流れ者のギタリスト“マリアッチ”のアクション映画。後にセルフリメイクされる『デスペラード』のオリジンで、ロバート・ロドリゲス監督の長編監督デビュー作。明らかに低予算で作られた作品なのに、語り口とアイデアで終始魅せてくれますね。

何が面白いかって、ヒッチコックの映画みたいな“巻き込まれた男”から噂がどんどん独り歩きをしていく皮肉な展開です。用心深く動くせいで刺客にどんどん振り回されるモコってボスの心の狭さがマリアッチを追いつめて、逆に立場が悪化していく滑稽さに溢れてます。勿論それはマリアッチにしても同様なんですが、窮鼠猫を噛む宜しく、生きるために反撃するマリアッチの活躍に熱くなっていましたね。

一方で神話のような雰囲気とモノローグが凡小なアクション映画と違っているのを醸していて、そこがルックの安っぽさをうまくカバーしてますね。少ない製作予算の中でこれほどのアクション映画を作ることが出来たのも、いつの時代も創意工夫の叡知の表れですね。
平田一

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