ジャン黒糖

宇宙戦争のジャン黒糖のレビュー・感想・評価

宇宙戦争(2005年製作の映画)
3.9
レビュー投稿自体は遅くなってしまったけど、『ウエスト・サイド・ストーリー』公開に合わせて再鑑賞した本作。
昔、公開直後にレンタルで観たっきりで、公開当時の評価がさほどだったこともあってその後も観る気が起きなかった本作だけれど、久しぶりに観てみるといやー!!ビックリ!面白いじゃん!!!

この映画が公開された当時、中学生だった自分はタイトルにもある宇宙人との戦争を期待して観たら戦争の中心である戦地が全然描かれないので肩外しを食らった印象がある。
ただ、あれから20年近く経ち、様々なライフステージを経た自分からすると、またスピルバーグ監督作品の系譜からすると、なるほどこれはこれで面白い映画!

まず、トム・クルーズ演じる父親が、全くと言っていいほど”父親らしいことはなにもしてやれなかった”父親過ぎてビックリ!笑

近年のトム・クルーズといえばまぁどんなに危険なアクションでも自身でスタントをこなす完全無欠のイメージが強い。
また、『ナイト&デイ』で演じた何を考えているか素性が見えない謎の男など、彼の世界的圧倒的なスーパースターゆえの特性を逆手に活かした役も印象的。
そんな彼の近作を知っているからこそ、本作『宇宙戦争』で演じる父親役は、これでもかと頼りなくてビックリする笑

宇宙人の襲来という危機的状況下で娘を落ち着かせようと子守唄を歌いたいけど、子供たちとしばらく疎遠になっていたがゆえに、子守唄を知らないトム。
(ただ、この場面で彼が代わりに歌う”子守唄”がのちの伏線として活きてくるあたり、うまい演出よな)

これまで身勝手な生き方だったがゆえに妻からも見放されたであろう彼が、それでも子供たちを守らなければならない状況下でつい怒りをあらわにしてしまい、手に持ったピーナッツバターパンを窓に投げつける!!
からの、窓にキレイに貼り付いたピーナッツバターパンが少しずつずり落ちながら、肩を落とすトムの不憫な姿。
見事なワンシーン。
だって、あの完璧な大スター、トム・クルーズですよ?!

他にも、ワンカット長回し(風)で宇宙人襲来から逃れようとする車の逃走シーンや、家の地下で宇宙人にばれぬよう息をひそめるシーンなど、見どころがたくさん!
ひたすらトム率いる家族目線で描きながら、時折米軍の戦いの様子が描かれ、終盤では日中のバトルシーンが垣間見れる。
ちゃんとスピルバーグ映画らしい、徐々に見せていく演出が本作でも描かれていた。

いままで”父親らしいことは何もしてやれなかった”親が、一度はコミュニケーションが断絶してしまっていた家族と共に、危機的状況のなかで、様々な考え方、思惑が交錯するなか、それでも自分たちが正しいと思う正義感のもとに行動する、というお話自体、それってつまり『E.T.』であり、『ジュラシック・パーク』でもある。
なんとスピルバーグらしいとしか言いようのないお話か。

なんだよ!これめっちゃ面白い映画じゃん!
観てよかったー。
ジャン黒糖

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