デイジーベル

デス・レース2000年のデイジーベルのレビュー・感想・評価

デス・レース2000年(1975年製作の映画)
3.7
B級映画の帝王「ロジャーコーマン」が生み出したSFディストピアアクションの怪作

◯概要◯
チープな手書き風タイトルから始まるこの作品は、超個性的なレーサーが、小学生が考えたかのような″夢の車″(最早ダサさを通り越してカッコいい)を駆り、一般人を轢き殺しながら(ポイントを稼ぎながら)、それぞれの思惑を巡らせ、奇妙な友情や愛情を育みつつも(そしてエロスも挟みつつ)、ゴールを目指す物語だ。
[最早何を言っているのかわからないと思うが、私も何を言ってるのかよくわからない。]

◯感想◯
この作品には、異常なゲーム(殺人レース)にどっぷり浸かった者達の愚かさ、メディアの低俗さを辛辣に笑い飛ばす痛快さがあり、「競争と殺戮はアメリカの文化だ」というようなブラックユーモアも、この作品が只のB級映画ではないと感じさせる(それが狙いであり、とってつけた感じも否めないが、それも含めて魅力なのだ)。
ビール片手に騒ぎながら楽しむべき映画である事は疑いようがない。(80分という時間もコンパクトで観やすい)
※70年代の雰囲気を楽しめる作品という点では「ワイルドパーティー」に通じるものがあるのかも知れない。

決して出来のいい映画では無いし、一般的にオススメ出来る作品では無いとも思えるが、何故か惹きつけられる魅力がある作品だ。

◯雑記◯
ちなみに「スタローン」のギャラはたったの1000ドル(この数ヶ月後に彼は「ロッキー」でブレイクする事になる)だったらしい。

●ロジャーコーマンって?●
ロジャー・コーマンは300以上の映画をプロデュースし、その内50本の映画を自身で監督、その作品はアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(AIP)というインディペンデント映画専門の制作会社を通じて、ドライブインシアターなどに配給されました。
徹底した″コスト管理″と″早撮り″で、一本の赤字も出さなかったことから『B級映画の帝王』と呼ばれ、また多くの映画人を発掘したことでも知られています。
ジェームス・キャメロンやスピルバーグ、マーティン・スコセッシ、コッポラなど、多くの名監督、名俳優がコーマンの下でキャリアをスタートさせたそうです。
「コーマン帝国」とゆうドキュメンタリー映画で詳しく知る事が出来ます。