ニッカ

ニュー・シネマ・パラダイスのニッカのレビュー・感想・評価

4.4
戦後のイタリアの田舎町シチリアを舞台としている本作品は、どこか懐かしさを感じさせる人間ドラマを基調として、そこに住む人々の生活をリアルに映し出している。

主人公トトが映画技師アルフレードとの出会いで映画の世界にのめり込んでいく、そんな一人の青年の半生を描いており、あどけない少年が成長していく中で経験していく事の全てが後に意味を持っていく。ここまで爽やかに人との出会いや別れを描いている映画はなかなか無いのではないか。

ストーリーの素晴らしさはもちろん、エンニオ・モリコーネによる音楽がこの映画の価値を高めているのは間違いない。哀愁を漂わせながらも力強さも持ち合わせているメロディはこの映画に完璧にマッチしている。「Cinema paradiso」をサウンドトラックとするラストシーンは映画史に残る名シーンだ。

1988年に公開された本作は世界中に大きなセンセーションを与え、停滞していたイタリア映画産業を復興させた。正にイタリア映画の中興の祖とも呼ぶべき作品である。エンドロールが流れる頃には胸を突き抜けるような爽やかな感動を味わっているに違いない。
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