大大

刑事ジョン・ブック/目撃者の大大のレビュー・感想・評価

3.8
ペンシルバニアに住むドイツ系移民で集団生活を送るアーミッシュの男の子が、殺人事件を目撃する。
刑事は犯人の追撃で傷を負いながらも、目撃者親子を村まで送り届け、傷が癒えるまで隠居生活を送る。
慣れない文化の中で生活をして、恋もしながら過ごす刑事の居所を、追撃者に気付かれてしまって大ピンチなお話。



▼事件の犯人が警察だからより手ごわい

▽サスペンスなのに事件の犯人が物語の前半で明らかになる

▽汚職警官のなかの独自文化とアーミッシュの独自文化を同列にして語る警察のセリフが、警察のヤバさ・ワルさを際立ててる

▽目撃者の少年が、視線と仕草だけで刑事に犯人の正体を伝え、無言で写真を指差す手を下げさせる刑事の姿で事件のヤバさが強調されてる


▼アーミッシュ独特の文化事情をうまくシナリオに取り入れてる

▽暴力を嫌悪するアーミッシュにとって、拳銃を持つ刑事は排除したい存在

▽刑事を保護するアーミッシュの女性が、村の中で日常生活を送れなくなる危機に陥る

▽アーミッシュで禁じられてる音楽がきっかけで、刑事と女性が仲良くなる





以下ネタバレ気味





▽アーミッシュの生活を捨てるか、刑事を諦めるかの二択を迫られる女性の葛藤は独特なシチュエーション

▽アーミッシュを小馬鹿にする観光客を刑事が殴ってしまうことがきっかけで、アーミッシュでない刑事の存在がバレ、警察に居所が伝わってしまう

▽アーミッシュのコーンの備蓄をつかって追撃者と戦う


▼観客を引きつける要素が複合的

▽刑事と目撃者の男の子に命の危険が迫る

▽アーミッシュの女性が、村人から遠ざけられて日常生活送れなくなる極限状態の予感

▽性格も文化も真反対のふたりが最高のパートナーになっていく情感


▼主人公と黒幕との会話の中で、黒幕が刑事としての主人公の行動を褒めるところに師弟関係の愛情を感じる。敵対同士なのに。


▼村で納屋を建てる休憩時間の台詞無しのシーンで、視線だけで登場人物の関係性や思惑が一気に見えるのがおもしろい

▽刑事を汚れものとして扱う村の長老たち、長老に頭が上がらない女性の義父、女性に想いを寄せる村の男、女性と両想いの刑事

▽それぞれの人物相関図がひとつのシーンではっきりさせることに成功している


▼シナリオの都合上、あとで両想いになるアーミッシュの女性と刑事の出会いは最悪でなければならない

▽出会いの場面で、女性に差別的なことを言ってしまうと確かに最悪な出会いは演出できるけど、後味が悪くなってしまう

▽「無法者」という台詞を使うことで、うまく後味の悪さを残さないようにしてる


▼全体的に照明は少なめで撮ることで、アーミッシュのリアルな暮らしのドキュメンタリーを見ているような質感になっている

▽さらに緑が強く出る色味になってる
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