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去年マリエンバートでのTのネタバレレビュー・内容・結末

去年マリエンバートで(1961年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ココ・シャネルが衣装デザインを務めたことでも有名な、”史上最も難解な映画”とも言われる、アラン・ロブ=グリエ脚本、アラン・レネ監督の第22回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞作。

反芻されるイメージの迷路。複雑な構成をとる緻密に計算された作品だが、その核たる「重要」なところとは、人間の根源的な性的欲求と男女のすれ違いなのではないかと思う。

赤の他人は勿論、名前も、物語さえも重要ではない。引き合い、斥け合う矛盾があり、平行線を辿りながらも交わるようなこの節理こそが、この映画が語る唯一絶対の真実なのではないかと思う。

ロブ=グリエは、黒澤明の『羅生門』に触発されてこの脚本を書いたそうだが、奇しくもどちらも金獅子賞受賞作となったの草。
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