第2作から12年後に製作された第3作。前2作はそれぞれの魅力があって好きだが、本作が公開された2003年、僕の興味は「ターミネーター」には向かなかった。だってこの年僕を夢中にさせたのは「キル・ビルvol.1」と「マトリックス」の続編。「ターミネーター」、まだやるのか?と正直思い、劇場鑑賞はスルー。世間の感想も芳しくなかったから今まで観ていなかった。2025年が初鑑賞。
前作「T2」でジャッジメントデイを阻止したサラ・コナーとジョン、T-800。しかしそれは核戦争を先延ばしにしただけだった。スカイネットは新たな刺客である女性型ターミネーターT-Xを送り込む。そして、ジョンと後に重要な存在となるケイトを守るためにT-800の改良型T-850が現れる。
シュワちゃん演ずるT-850の表情は相変わらず堅いのだが、これまでの無機質な感じが和らいでいるようにも見える。人間の心理学まで学んでいるらしいから、妙に達観した台詞を吐くし、2人の未来を知っているから見守っているよりも導いている感がある。もはや単なる終結させる殺し屋ではない。2人を救う結末もやり口が巧み。そこまで学んでいるのかw。
それにしても、キリッとした美少年だったジョンがどうしたら本作のようなどこか冴えない男(失礼)に成長するのだ。その後苦労を重ねたとはいえ、前作のエドワード・ファーロングの面影はちっとも感じられない。シリーズお約束である冒頭の衣服調達場面も、妙に笑いをとりに走っていて、せっかくの緊張感を途切れさせてしまう。一瞬ではあるけれど、シュワちゃんがエルトン・ジョンみたいなサングラスかけるのは無駄。
T-Xを演じたクリスタナ・ローケンは元モデルだそうで、終始無言でビシッとした立ち姿が美しい。T-1000は多少喋ったが、今回は台詞すらなく、首をかしげるだけで、不気味さを強調している。
2000年代に製作されたSF映画は、本作や「トゥモロー・ワールド」「アイ・アム・レジェンド」「A.I.」「2012」などダークな未来観が描かれたものが多い気がする。本作はイラク戦争が始まった年に公開されている。世界の先行き不安な空気が映画にも反映されているのかな。