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ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1のRenのレビュー・感想・評価

3.0
【ハリー・ポッター初心者日記⑦】

相変わらずテンポが遅くて長くて疲れるけど、形として収束に向かってくれてはいるのが感じられる。前作よりは、土台の物語の上にもう一つ意味を乗せた展開が多くて助かった。

もう舞台としてホグワーツの影は無い。コメディがほぼ完全に排斥され、いよいよ終章が動き出した感。
対ヴォルデモートへ向けての本格始動だけれど、物語は前作で出てきた分霊箱なるものの破壊が軸であり、ここに来て全く新しい話が始まったかのような歪さもあった。シリーズを続けるのは容易では無いのだと気づかされる。

冒頭の人間界のチェイス・アクションや、魔法省への潜入などはジャンル映画としての楽しさが上乗せされた良いシークエンスで、前作よりも手札は増えた印象を受けた。物語全体の構成もロードムービー風になっており、全体で観たときの印象はこれまでとは多少変えてきている。
3人の関係にしてもそう。散々彼らのキャラクターは描かれてきているので、そこに亀裂を入れることで緊張感を一段押し上げている。今までの「友達・仲間」の空気感にさらに「バトルもののパーティー」らしさが足されていたことで、彼らの成長も敵対している状況のシビアさも物語自体の神話性もぐっと増す。

過去作の要素も沢山拾っているし、映画として観たときのサービス精神はたくさんあるはずなのに、やはりデヴィッド・イェーツ監督の鈍重なストーリーテリングが足枷となってしまっている。面白いより先に、長いな進まないなが来てしまう。

とは言え、2部作の前半としてとても良いクリフハンガーだったのでその分は躊躇いなく高評価したい。ラストのドビーのシーンで落涙しかけた。自分は『アラジン』のラストでも毎回泣くので、自由とか解放や自立の話に弱いのだと思う。

総評はPART2を観たうえで決めたい。
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