タマル

ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔いのタマルのレビュー・感想・評価

2.3
なんでこの映画はこんなにスベってんのかなー?、と自己分析してみた。その結果、アメリカで浴室に虎がいたりトランクから全裸のアジア人が出てくるのって普通じゃね? と思っていたという事実を認識し、ショックを受けた。

普通じゃね? とまではいかなくとも、アメリカの“普通”に対して今劇中でどこまで異常なことが起きているのかという「異常度レベル」は自分がアメリカンコメディを観る上での一つのネックになっていることは確かだ。特に「日常に紛れた虎」のギャグに関しては、アメリカ産の『アンクル・グランパ』というコカイン患者の悪夢みたいなアニメでは鉄板ギャグなので(周りはアニメなのに虎だけ実写)どの程度のボケなのか、大ボケなのか小ボケなのかと考えてしまい少しも笑えない。もしアメリカ人のコンテキストを共有していたならば笑えたのだろうが、「アメリカの話」として認識している私にとっては、狭いアメリカ知識の中で異常度を判断しようとするため瞬間的な笑いが生じなくなってしまうのである。だからこそ、『ブルーノ』だったり『チームアメリカ』だったりと、逆に文化とか文明みたいなものすら振り切った異常さを持つ作品の場合は、瞬時に、そして大いに笑えるんだろう。

これは確かに映画を楽しむという観点からみれば損だし、自前のものだけで楽しんでればいいというイージーで狭い見識は改善していかなければと思うんだが、その反面、わざわざ異常度の低いコメディを外国まで求める必要はあるのかという気がする。せっかく外国のコメディを観るなら壊れたものが観たい。「文脈の笑い」は日本の「お笑い」の得意分野で、日本人の私には足りている。もっといえば、これはテレビの得意分野なのだから映画でやらなくても……という気もする。
取り敢えず本作はコメディとして楽しめなかったし、ドラマ単体でみても驚くようなところもなかったのでこのスコアです。
ただ、本作の監督トッドさんは、私の大好きなパンクロッカーGGアリンの映画を撮っているではありませんか!! 多分そっちの方はテレビでは描けない異常さを炸裂させていると思うので、そっちは超みたいですな!!!
タマル

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