ジミーT

サタデー・ナイト・フィーバーのジミーTのレビュー・感想・評価

5.0
今般故あってアマプラで「サタデー・ナイト・フィーバー」を観直してみて、長年の疑問が解決したんです。
何故観直したのかは、本文最後に説明します。

疑問というのは、この映画の続編で「ステイン・アライブ」がありますよね。昔、あれを観た時、非常に違和感を覚えたんです。主人公がつながらなかったんですね。

「ステイン・アライブ」の主人公はダンスでトップを目指す男で一種のスポ根ドラマです。
一方「サタデー・ナイト・フィーバー」の主人公はちゃらちゃらと無軌道な若者で、いわゆる刹那的な青春を送っている。いつも女のコのことばかり考えていながら、部屋にはスターのポスターに混じってひときわ目立つ「ロッキー」のポスターが。その時期にヒットしていた流行り物だからでしょう。
ちゃらちゃらはちゃらちゃらでいい。スポ根もスポ根でいい。ちゃらちゃら無軌道な若者がいきなりスポ根になるのが極めて不自然に感じたんです。
従って「サタデー・ナイト・フィーバー」と「ステイン・アライブ」の間にもうひとつ、ミッシング・リンクというべき映画があるはず。つまり「ちゃらちゃら青年」が「スポ根青年」に変わるまでの映画が・・・。そのミッシング・リンクはどこにある?なければ作る必要がある。その疑問を抱いたまま46年。今般「サタデー・ナイト・フィーバー」を見直してみたのですが・・・。

大間違いでした。

「サタデー・ナイト・フィーバー」の主人公は非常にしっかりした男だったんです。定職もあり、真面目に勤務して信頼もある。家族のことで悩んでもいる。聖職者の兄とはいつも比較されるけどその兄にとっては良い弟でもある。ディスコ仲間ではリーダー的存在で人望もありそうだ。いい奴じゃないか。
そして何よりこの男にとって「サタデー・ナイト・フィーバー」は単にウサ晴らしだけじゃない。ダンスコンテストで優勝するという目標があって、ダンスレッスンにも通っていた。
しかもそのダンスコンテストの結果に対し、筋の通った行動もみせたりする。
こういう感じなんですね。

これはもう大勘違いでした。46年前、俺は一体何を観ていたんだ?大違い。そうなると部屋に貼ってある「ロッキー」のポスターも意味が変わってきます。流行り物だからじゃない。目標に向かって突き進んだロッキーを自らの指針とみて貼ってあったのかもしれない。
これなら「ステイン・アライブ」にも自然につながってゆけるし、監督がシルベスター・ロッキー・スタローンだったのも納得です。
ミッシング・リンクなんてなかったんです。作る必要もありません。

昔観た映画を見直してみたら印象が違ったというケースはよくありますが、ここまで違っていたというのは珍しい。観直してよかった!

実は先日、「男はつらいよ」をまとめて観ていたときこの映画を思い出し、観直してみたのです。山田洋次監督と渥美清さんに感謝!
何故「男はつらいよ」で思い出したかって?だってほら、「トラさん映画」じゃないですか。

追伸1
この映画に寅さんが出演したらどうだろう。ペンキ屋から出てきたトラさんの肩をたたいて
「よっ、青年!」
なんか凄く自然な感じなんだけどなあ。

追伸2
これに続く「トラさんシリーズ」第二弾「グリース」は何年か前に見直してみたのですが、あれは昔観た時と印象変わらず。ちゃらちゃらを突き抜けて馬鹿馬鹿しさの極み。底抜けに楽しい映画でした。大好きです。
ジミーT

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