ちろる

スクラップ・ヘブンのちろるのレビュー・感想・評価

スクラップ・ヘブン(2005年製作の映画)
3.5
とりあえずフジファブリックの歌うエンディング「蜃気楼」がすごく良かったから、映画全体の雰囲気がグッと上がった。

地味で凡人だった主人公シンゴが、少しイッちゃってるテツに出会って少しずつ社会から外れていく。
良きか悪かは分からない。
とある視点から見れば完全に壊れてしまってるわけだし、ある意味では正気になっていっているとも言える。
とりあえず厨二病ギリギリのストーリーではあるものの、シンゴを演じた加瀬亮さんと、テツ演じたオダギリジョーさん、そして義眼の謎の女を栗山千明さんの組み合わせが絶妙だったので、なんとかおしゃれで意味のある作品になっていた。

想像力のない世界は何も生まれないらそして必ず絶望を呼び起こす。
しかし想像力は掴めない夢を無駄に見せて、残酷な革命を生み出す危険性もある。

社会の不条理ぶっ飛ばしたい、なんとかしたい!
警察も、検察も使いもんにならないなら個人的に仕置人になってやると思ったところで悲しきかな個人的に私刑を与えてもそれは個人のストレス発散でしかない。
スタイリッシュに血を見せても、未来的に悪い予感しかしなくて壊れていくしかない彼らを見ているのは居心地がどんどん悪くなった。
先輩刑事の柄本明さんの演技が恐ろしくて、前半のスタイリッシュな展開を少し楽しんでた私までグイッと締められた気分になる。
そんな感じでストーリー自体はまぁまぁなのに役者陣の競演のお陰で割と見応えある作品にはなっていたと思う。
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