Kumonohate

日本一の断絶男のKumonohateのレビュー・感想・評価

日本一の断絶男(1969年製作の映画)
3.4
時代のせいか、須川栄三が監督だからか、脚本に佐々木守が加わっているからか。従来の「日本一シリーズ」で描かれてきたモーレツ社員のフォーマットにギリギリ則ってはいるけれど、一方で70年代臭もプンプンする。

それは単に、建設中の大阪万博会場でロケが行われているから、などという即物的な理由にとどまらない。植木等のモーレツぶりに以前のギラギラ感は無く、その瞳はどこか醒めている。身体の半分はモーレツ・サラリーマンだが、残りの半分はヒッピーである。成功したり出世したり気を取り直したりするときに発せられたあの高笑いも、やや影を潜めている。もはや、モーレツに階段を駆け上がることが、100パーセント是ではなくなっているのだ。

そういうワケで、植木等のキャラクターがどっちつかずではあるものの、何とな〜く漂うけだるさから感じる郷愁は悪くない。
Kumonohate

Kumonohate