荒野の狼

ザ・ハリケーンの荒野の狼のレビュー・感想・評価

ザ・ハリケーン(1999年製作の映画)
5.0
アメリカのニュージャージーの現役の黒人ボクサーのルービン・カーターが、人種差別の故に、殺人の罪を着せられ服役させられ、その際に自叙伝を執筆。これを読んだ黒人少年のレズラと支援する3人のカナダ人が冤罪を晴らせるかという実話に基づく作品。実際にカーターを支持したモハメド・アリ、ジョー・フレージャー、エレン・バースティン、ボブ・ディラン(歌も含む)の映像も含まれる。主役のワシントンは、1年のトレーニングと100ランド以上のスパーリングを重ね現役のボクサーのような見事にビルドアップされた肉体を見せる前半から、人間的に深みを見せる後半まで、素晴らしい演技。判決の鍵を握るサロキン判事役のロッド・スタイガーが、いい味をだしている。英語は、前半は、俗語が多く、やや難解だが、後半は比較的わかりやすい。人種差別ということを抜きにしても、不条理な社会に、何ども打ちのめされながら戦っていく姿は感動的だが、一番の感動は、映画のエンディングで、世界ボクシング評議会WBCに表彰されるカーター本人の映像が流れるシーンで、涙なしでは見られない。20年間、リングの外とはいえ、闘ってきたカーターの功績を認めたWBCは、このことでボクシング界のイメージを挙げたのではないか。猶、この映画の冒頭で、ウェルター級の世界チャンピョンを倒すシーンがあり、カーターがタイトルを奪取したかのように思われるシーンがあるが、これはミドル級のカーターが、ノンタイトルで行った試合で、当然王座の移動はない。米国で販売のDVDの映像特典には、監督のコメントとともに、削除されたシーンが収録されているが、これは映画を長くして観客が退屈することを避けるためとのことで、2時間26分の映画だが、飽きることなく見られる。削除された中での名場面は、カーターが刑務所内で友人のレズラの訪問を受けるためには、裸にされた検査(Strip Search)が課せられるが、それは人間の尊厳を損ねるものなので、友人のモブートに相談するシーン。ここでは、身体に触られるのは耐えられないとするカーターに対して、モブートは、お前のハートには触れられるのは、友人だけだ(看守にはできない)と諭す。
カーター: You got go strip search and I know that nobody touch me. Can you still do retain your dignity?
モブート: If you got a visitor, you go. You don’t matter. The search don’t matter. Nobody fools here can touch you. But your visitors, they can touch you (胸に手を当てながら)。

メイキングでは、カーターとレズラ本人のインタビューも収録。以下は名言。

Lesra, short for Lazarus, “He who is risen from the dead.” Rubin. Genesis chapter 29, verse 32, “Behold a son.” You put those two together, and you have “Behold a son who has risen from the dead.” That’s no accident. Hate put me in prison. Love’s gonna bust me out.

You gotta find out what’s true for you, what is for Lesra Martin.
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