2015年4月9日（木）、シネマヴェーラ渋谷。

典型的な日活アクションふうの物語を安藤昇でやってみた、といった感じ。これが映画3本めの安藤は棒読み演技でまだ素人くさい。やはり、加藤泰と出会ってから役者としての存在感と演技力をぐんぐん増していったのだろう。

主役が狂言回しを務められないぶん、殿山泰司、渡辺文雄、田中春男、中村是好、水島道太郎ら確かな演技力の持ち主を配しているが、如何せん、シナリオと演出がまずすぎ。そもそも、国外に逃亡していた安藤がなぜ函館に帰ってきたのかがわからない。一応、妹が死んで墓参りをする描写があるが、説得力が弱い。しかもこのとき初めて妹の友人から自殺ではなく殺されたことを聞かされたのに、のちに妹に思いを馳せるところでは、彼女が水島道太郎に犯される場面まで回想するのだ。その場にいなかったのに。想像力がたくましすぎるよ。というか、あんた、殺されたのを知らなかったじゃん！とでも言いたくなるようなでたらめさであった。