このレビューはネタバレを含みます
スキー教室にやって来た12歳少年ニコラは、悪夢や妄想に怯えていた。
ニコラの父親は小児性愛者で、ニコラは性的虐待を受けていた。
その精神的ショックが悪夢や妄想へと膨らみ、現実世界との境界線が曖昧になったのだと思った。
父親の事故の妄想とか、父親が事故で死ぬことを願うような節があったし、
女性とのキスの妄想とかもあった。
カフェでラストの赤ん坊を抱く母親を眺めるニコラの表情。
ニコラの妄想話を信じ込んで警察に密告した同級生の少年が逮捕されたニコラの父親をテレビで見る表情。
2人の表情が何とも切ない。
今年観た『彼女はいない部屋』と同じ感覚に。
この映画も家族の死という精神的ショックによる悲哀と妄想が現実世界と入り混じる作品だった。
『勾留』と同じく、小児性愛者が映画の要素として構成しているのも興味深かった。