平田一

ゲド戦記の平田一のネタバレレビュー・内容・結末

ゲド戦記(2006年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

アレンを追いかける「真実」は歳を重ねていけばいくほど、"正体"が見えてくる。初見は邪悪の権化のようで、徐々に見方が変わってくる。彼、いや…"あれ"があるから、人は強くも弱くもなれる。アレンはそれを気付けたからこそ、初めて"勝つこと"が出来た。これからの彼が一体、何処へ行くのか知りたいな(原作を読めよ)。

均衡が壊れているから、壊したって構わないと主張するクモの言葉は、身勝手な言い分だけど、どこか憎めないとこも。アレンもクモも怯えているから、必死に必死に逃げている。だからクモは同類たるアレンの利用は容易かった。けどそれって依存であって、協力じゃあないよね。それじゃ最初の王宮暮らしのアレンと変わらない気が…

テルーがアレンに酷い言葉を吐いたことを悔やむ場面から、この映画の真の姿がどんどん見えて開けてくる。痛みを背負って、誰かの痛みを受け入れて、前を向く。それがアレンへテルーが言った"生きること"の一つだと、見ててボクは思ったな。第一、生きることを"怖がる"ことって誰しもあるし、序盤のアレンって今を生きてる現代人そのものよ。

上手く言えたかわっかんないが、永遠不滅のテーマに対する見事な解釈だと思う(傑作とは程遠くても)。ただ素晴らしい音楽を一辺倒に扱いすぎて(テーマ曲が顕著だった)、それでマイナスにはなった。けど本作は必見だと、声を大にして言いたい。例え話にまとまりを感じられなかったとしても。

コロナで変貌してしまった世界に不安を抱く人、すべてにオススメ出来ると思う。

読んだ方、如何でしょう?
平田一

平田一