たな会No02

あらくれのたな会No02のレビュー・感想・評価

あらくれ(1957年製作の映画)
4.5
成瀬巳喜男はあまり得意でないと『浮雲』『乱れる』を観て思ってましたが、これはほんといい。高峰秀子の殴る蹴る噛む放水するなどの暴力っぷりもよいのですが、その無軌道さを淡々と撮ってるのがよいんですよ。高峰秀子はあくまで普通に生きたいだけなんですが、クズの上原謙、ゲスの森雅之、ダメな加東大介のせいでそうはいきません。なので打算で生きようとしてしまうし、クズゲスダメには感情的になってしまうだけで奔放なわけでないように思いました。たくましくはあるけれども、普通がままならないから生きる術としてそうしているように思いました。森雅之に迫られるシーンで屋根の雪が落ちる演出には笑ってしまいました。昭和かよと思ったら昭和のど真ん中でした。