ひすい

アメリカン・サイコのひすいのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

シンプルなサイコスリラーかと思いきや、終盤の主人公の葛藤をはじめ、妄想と現実が混同していく複雑な展開に驚いた。
名刺合戦での「透かしまで入っている…!」プルプル やド派手なチェーンソーシーンも面白かった。

後半の展開については、サイコパスである主人公の特徴である(表面的魅力、自己誇大観、虚言、共感性の欠如、刺激の欲求、奔放な性行為、良心の欠如、結果至上主義などの)精神的な異常性を、そのままアメリカの行き過ぎた病的な資本主義に重ね合わせて、その異常性を表現していたのかなと思った。
そう考えると、全ての殺人が妄想だったわけではないのではないか、例えばポール・アレンの事件ついては評判と株が下がることを懸念して会社が一件を揉み消したのかもしれないし、殺害現場だった部屋にお客が入らなくなると困るから不動産屋は「…ここでは何もなかった」と言ったのかもしれない。

また、最後のナレーションがとても印象的だった。主人公が周囲に適合できないことによる劣等感からの「鋭い痛み」について、「その痛みを他人にも負わせたい」「他人の幸せなど望まない」と言っている。その罪を周りに打ち明けたところで、周りも自分の利益しか考えていない、他人に関心のないサイコパスなので「罰は僕を回避し続ける」。適合しよう適合しようと苦しんでいたのに、なーんだみんな僕と同じ資本主義に毒されたサイコパスなんじゃん、と気づいたということなのかなと思った。
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